成年後見制度の利用状況
認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が十分でない方を支援する「成年後見制度」の利用状況について、厚生労働省が公表した「成年後見制度の現状」(令和7年版)を基に、その概要をご紹介します。
利用者数は年々増加
成年後見制度の利用者数は年々増加しており、令和6年12月末時点では約25万4千人となっています。
このうち、成年後見の利用が約7割を占め、保佐が約2割、補助が約7%、任意後見は約1%となっています。高齢化の進展に伴い、制度の利用は今後も増加していくことが予想されます。
申立人では市区町村長が最多
成年後見開始等の申立人を見ると、市区町村長による申立てが最も多く、全体の約24%を占めています。これに本人による申立て、本人の子による申立てが続いています。
また、市区町村長による申立件数は、令和元年の7,840件から令和6年には9,980件へと増加しており、身寄りのない高齢者や、親族による申立てが困難なケースが増えていることがうかがえます。
成年後見人等の約8割は専門職
成年後見人等に選任された人については、親族が選任されたものは全体の約17%にとどまり、約83%は弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職をはじめとする第三者が選任されています。成年後見制度では、本人の財産管理や身上保護を適切に行うため、中立的な立場にある専門職が選ばれるケースが多くなっています。
申立ての主な理由は財産管理
申立ての動機として最も多いのは「預貯金等の管理・解約」で、全体の約93%を占めています。次いで、「身上保護」、「介護保険契約」、「不動産の処分」「相続手続」などの順で多くなっています。
成年後見制度は、財産管理だけでなく、施設入所や介護サービスの契約など、本人の生活を支えるためにも幅広く利用されていることが分かります。
成年後見制度を利用する際の留意点
成年後見制度は、判断能力が低下した方の権利や財産を守るための重要な制度です。一方で、成年後見人が選任されると、本人の財産管理や法律行為について一定の制約が生じるため、制度の利用が必要かどうかは個々の事情に応じて慎重に検討する必要があります。
弁護士としては、成年後見制度の利用を検討される場合には、制度の内容や利用後の影響について十分な説明を受けた上で、早めに専門家へ相談されることをお勧めします。
【2026年7月12日更新】
執筆者:シエル法律事務所 弁護士小林ゆか