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【弁護士コラム】「相続した土地を手放す制度」がスタートしました。【2023年5月13日更新】

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が2021(令和3)年4月に成立し、相続した土地を手放す制度が新たに創設されましたが、この法律が、2023(令和5)年4月27日に施行されました。

 

法律の目的

この法律の目的は、所有者不明土地の発生を抑制することにあります(第1条)。

つまり、土地を相続したものの利用ニーズがないと、当該不動産は「『負』動産」化し、所有者不明土地の発生要因にもなってしまうため、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等が法務大臣の承認を要件に、相続土地を国庫に帰属させることにしたものです。

 

申請主体

1)相続登記をしていない場合

相続登記をしていなくても、「相続等により土地所有権を取得したことの証明書類」を提出すれば、申請土地の所有者と判断して貰えます。

→「相続等により土地所有権を取得したことの証明書類」としては、亡くなった方の出生~死亡までの全戸籍等、不動産登記手続をする場合と同程度の証明書類が必要です。

2)土地が共有の場合

土地が共有の場合は、申請は、共有者の全員が共同して行わなければなりません(第2条2項)。

 

承認の要件

承認の要件(概要)は次のとおり。
① 土地上に建物がないこと
② 土地に担保権又は使用・収益権が設定されていないこと
③ 通路など他人の使用が予定されている土地でないこと
④ 土壌汚染がないこと
⑤ 境界が明かで所有権の争いがないこと
⑥ 管理に過分の費用・労力を要するような崖地でないこと
⑦ 管理・処分を阻害するような工作物、車両又は樹木等が地上に存在しない土地であること
⑧ 除去しなければ通常の管理・処分ができない地下埋設物がないこと
⑨ 隣接地の所有者等との争訟によらなければ通常の管理・処分ができない土地として政令で定めるものにあたらないこと
⑩ その他、通常の管理・処分に過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるものにあたらないこと
(以上、第2条3項各号、第5条1項各号)

 

具体的な手続

1) 承認申請にあたっては、政令で定める申請手数料を納付しなければなりませんが(第3条2項)、この金額は、土地一筆当たり14,000円とされました。
2) その後、法務大臣(法務局)による要件審査を受けます。
3)その上で承認されると、管理に要する10年分の土地管理費相当額の負担金<注>を納付することにより、当該土地の所有権が国庫に帰属します(第10条1項、第11条1項)。
<注>詳細は政令で規定されます。政令によると20万円が基本ですが、土地の区分(宅地・農地・森林)ごとに面積に応じ定められています。

 

申請書類の作成代行

申請者に代わり申請書類の作成を業務として代行できる資格者は、①弁護士、②司法書士、③行政書士に限定されています。

 

【2023年5月13日最終更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか

 

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